御簾納レポート

名義預金にご注意下さい!!第104号 2012.07.11






毎年8月後半から相続税の申告をされた方のところに税務調査が入ります。相続税の税務調査は、申告をしたその年か翌年に入ることが多く、約4分の1の割合で調査が入ります。
税務調査において最も多く否認されるのは現金、預貯金です。実に申告漏れの財産の約35%に相当します。今回はその主な原因となる「名義預金」について確認したいと思います。


1.名義預金とは
  形式的には配偶者や子・孫などの名前で預金しているが、収入等から考えれば、実質的には別の所有者がいる、つまり、それら親族に名義を借りているに過ぎない被相続人の預金を言います。
  この名義預金の一番の問題は、その財産が贈与されたものであるかどうかということで、贈与されていないと判断される場合には名義預金として被相続人の相続財産に該当します。


2. 贈与について
   民法上の贈与については、民法第549条において「贈与は当事者一方が、自己の財産を無償にて相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力が生ずる。」と規定されています。
   つまり、贈与者による贈与の意思表示(「あげましょう」という申出)と受贈者による受贈の意思表示(「もらいます」という受諾)が合致して成立する契約行為であることがその特徴です。
     例えば、父が子名義で毎年預金をしていても、その預金の存在をその子が知らない場合には、受贈者(子)
  による受贈の意思表示がないことから、民法上の贈与契約が成立していないことになります。
   そのため、子名義の預金が行われて何年経過していても、民法上の贈与が行われていないことになり相続財産に計上されることになります。


3.税務調査
それでは税務署の立場から考えてみましょう。例えば、夫名義の預金5千万円を妻に名義変更します。その際に贈与があったものとして取り扱うとすると、どうなるでしょうか。銀行は名義変更の事実を税務署に通知する義務などありません。あるいは夫が預金5千万円を引き出し妻がその5千万円で新しい口座をつくります。もちろん、預金口座ができる度に銀行が税務署に通知することもありません。つまり、預貯金の名義変更時に贈与があったものとするなら、税務署側がこの事実を把握して贈与税の課税をしなくてはならないのです。しかしそれは不可能です。だから名義変更などがあっただけでは贈与税をかけないのです。そうすることで税務署側は次のように言えます。
税務署側...「15年前に名義変更したからといって贈与があったとは限らないですよね。単に妻の名義を借りただけでしょう。それに印鑑は故夫のものだし、通帳の管理も故夫がしていたし。実質的に故夫のものでしょう。相続税の課税対象です。」
妻側...「(贈与税の納税義務の時効が成立しているので)15年前のは贈与である」との主張をします。この場合、真実に贈与があったことを、名義変更以外の何らかの形で説明しなくてはならないのです。
つまり税務署側としては15年前の名義変更が常に贈与だとすると困るのです。税金の取りっぱぐれになりますから。

また、妻名義の預貯金に対しても税務署はかなり厳しく対応してきます。妻の預貯金が実家の相続や妻自身が働いて得たものでないなど、単に生活費の残りを妻名義の預金にしていたのであれば、実態は夫のものであると見られてしまいます。


4.贈与成立のための必要書類
   では、名義預金と否認されないためのポイントを具体的に挙げていきたいと思います。過去の贈与が税務調査で問題にならないようにするためには
① 贈与契約書を交わすこと
② 贈与額が110万円超の場合は贈与税の申告をすること
③ 各人の預貯金の印鑑は被相続人と違う物を使用すること
④ 印鑑、通帳、キャッシュカードは名義人が管理していることも重要なポイントです。
⑤ それから、本人がいつでも使える状態にしておくということも必要になります。

生前贈与や相続のご相談をお受けしていると、ここが適正な形式となっていない方が本当に多いです。

従って、相続税の申告が必要になる人は、夫の財産は夫の財産として、名義人の財産については名義人の財産として、その根拠を示しハッキリと区分しておいた方が良いでしょう。

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